〇。読書感想文(漫画)〇。「シジュウカラ」
最近人生を振り返る機会が増えてきました。
私って今まで何して気なんだろうと考えると想像以上になにもしてこなかったことに震える毎日です(笑)
人生で突き詰めて追及したものがない私。
そんな中でとくにマニアってわけではないけど、人生で一番時間をつぎ込んだのは漫画を読んだことだなーと。
なので読書感想文的なものを書いていけたらなーとちょこちょこ記事を上げてこうと思います。
順番は思い付きです♪
今日はこの作品
坂井 恵理作 「シジュウカラ」
タイトル通り、四十歳(シジュウ)から始まる不倫物語です。
さきに結論からいうと、
「結婚したり年齢を重ねた女性にとって共感できる内容が多い作品」
でした。
主人公はデビューはできたけど鳴かず飛ばずの漫画家で、結婚や出産を機に自分の漫画をだんだんと描けなくなっていき、有名先生のもとでアシスタントをしています。そのアシスタントも、旦那の実家に引っ越すことになり辞めてしまうことに。
旦那はモラハラ。物語の所々で奥さんである主人公を下げる言動ばかり。
しかも浮気したりいろいろと最低。
主人公と出会ったときに漫画家という職業に対して
「結婚しても家でできる仕事だからいいよね」
と理解ある風に語るが、家事や育児はすべてお嫁さんがやることを前提で「家事やりながらできるからいいよね」という意味だったという。
13年前の子供が生まれたばかりの時には浮気三昧。泣きわめく息子に
「うるせえなぁ。TV聞こえないからほかの部屋行ってよ。」
という最低発言ぶり。
そのころに憂さを晴らすように主人公は浮気夫への復讐劇を描いた漫画を描いて初めての単行本を出版するまでにこぎつけますがそれっきり。
そんなこんなで月日が過ぎていき、40歳を迎えようとするころに電子書籍で以前描いた復讐劇の漫画が突然の大ヒット。突如たくさんの印税と、新規連載の仕事が主人公のもとに舞い降りてくる。しかも妻の不倫物。
主人公は久々の依頼を受けるか一瞬ためらうが、描くことを決意します。
そして雇ったアシスタントで20歳のぴちぴちの男子大学生千秋くん。この千秋くんに出会った日に主人公は40歳の年を迎え、彼と恋に落ちていくわけです。
題名の通り四十(シジュウ)歳から彼との恋がはじまるわけですね。
若いころはこういうのを嫌悪して全く読まなかったんですけど、昔自分の彼氏の浮気が発覚したころから急に読むようになりました。
理解しようとしてたのか、復讐を見てたのかいまでもよくわからないですけど。
まぁ大体イライラするものが多かったんですが、この漫画は不倫ではなくて結構主人公の気持ちや考えに共感できるところが多かったです。
- 結婚して子供が生まれて、どんどん自分のやりたいことができなくなっていっていくことに対する不安を抱えながらもどうしようもないまま流されていく自分。
- 夫の不倫に気づきながらも収入のない自分が離婚を切り出す勇気が持てずに、ずるずると許すしかなかった自分。
- どんどん年齢を重ねて女じゃなくなっていく自分
とにかく自分に自信が持てずに浮気旦那に依存して生きていくしかできない自分に嫌悪しつつあきらめて受け入れていたところに、昔描いた作品のヒットがきっかけで自信を持つことができ、だんだん自分の人生に抵抗していこうとしていきます。
まぁ抵抗っていうかやさぐれていく感じだけど。
また、主人公はちょっとぽっちゃり描かれていて、恋をしたからって体の線を変化させてません。
よくありますよね、おばさんが恋をしてダイエットしてきれいになる!みたいな。
そこがリアルだし、あからさまな描写はしていないけど、主人公のもつ年齢という劣等感もそのことにより際立っているなと思いました。
これ以外にもリアルな女性の心情が細かく描かれていて、ちょっとわかるな…感じるうちにだんだんこの作品に引き込まれてハマっていっちゃうんですよね。
こういった気持ちって10代や20代前半の若いころってまったくわからなかったんですけど、20代後半になって最近白髪とか増え始めて結婚して仕事と両立の難しさにぶち当たって…
なんかね、…すっごくわかる!
ってなります。
もちろん家事と仕事を両立できるすごい女性って世の中にはたくさんいらっしゃるとは思うんですが、簡単ではないと思います。
あと主人公の旦那がとにかく気持ち悪い。サイテーな人です。
愛をセックスでしか確認できないし、相手の気持ちを思いやれないかわいそうな人なんですよね。
まだ連載中なので最終的にはどういう展開になっていくかわかりませんが、1章的なくぎりでの最終展開はとりあえず、現在まで千秋君と主人公は惹かれあいはしても結ばれてません。体の関係もなし。
そんなふたりが今後どうなっていくのかが気になります。